実家を離れて10年近くたち、感じたことがあります。
それは、今でも体を心配して、たまにメールをくれる親に何か恩返しはできないか?ということ。
親にとっては、いつまでも私は子供。
でも、家庭を持って今ではいい大人。
そうはいっても、やっぱり息子なんですね。
風邪はひいていないかとか、喘息にはこんな食材が良いとかメールが来きます。
ちょっと前までは、お節介だなって思ったことがありましたがこの年になり心配してくれることにありがたみを感じています。
実家に帰れば母はご飯を作ってくれたり、父は特にこれっといって長話はしませんが、雰囲気で気にかけていることが感じ取れます。
子供のころは喘息でしょっちゅう夜中に病院に連れていってもらいました。
瀕死の状態の中、夜間の救急外来をやっている行きつけの病院まで車で40分。
おかげでさまで、40歳まで何とか生きています。
父は、子供にはいろんな経験をしてほしいと、夏は登山にキャンプ、釣り、海水浴、旅行、冬にはスキーと、いろいろ連れてってくれました。
今は自営業が忙しく、なかなか出かける時間が取りにくいようですが、近いうちに落ち着いて時間が取れれば、両親を温泉旅行に招待しようと考えています。
母は、当時、私の体のことで頭がいっぱいで、ハウスダストがたまらないように掃除して、排気がきれいな掃除機を探して、アレルギーに良くない食材は避けた料理。
愛情をもらいっぱなしです。
ということで、何か恩返しができないか考えました。
欲しいものを買ってあげる。
旅行に招待する。
食事に招待する。
社会的地位を向上させる。
高給取りなる。
考えてみてもなかなかいい答えが出ない・・・
と、ふと思ったのが、いつもまでも健康でいて、たまには実家に顔を出すことが一番恩返しなのではないかということ。
というのも、数年前に近所の友人(同級生)が突然自殺をしてしまい、友人の父親は私の父のところへ青ざめた顔をしながらきたそうです。
その知らせを父から電話でもらったときは、驚きのあまり、言葉を失いました。
30年以上の付き合いの友人。
仕事がうまくいってなかったことが理由だったそうです。
どうしてと悲しみがどっと押し寄せ、父も言葉に詰まりながら電話越しでこう言いました。
「仕事は順調か?もしなにかあっても死ぬことは考えるな。そんなときは仕事をやめればいいんだから。死んだら何もできないぞ。」
病気はともかく、子供が親より先に逝ってしまうことはよくない。
生きていれば何とかなる。
辛いことがあっても、親を頼ったっていい。
親子なんだから。
そんな言葉が心の中で浮かんできました。
そして、この電話を思い出して、気が付きました。
親への一番の恩返しは元気でいること。たまには実家に顔を出すこということ。
親は、子供の元気な姿を見るのがうれしいのです。
いくつになっても子供の成長が気なるのです。
父も、仕事で近くに来たときは一杯やっていくかと電話をくれます。
だから、もちろん、プレゼントや温泉旅行に招待すれば喜んでもらえますが、なにより、元気に過ごしてたまには電話して、メールして、実家に顔を出すことが一番の恩返しではないかと今は考えています。