最近は、道の駅のような施設で農産物直売所をよく目にするようになりましたね。
観光地に行かなくても、近くの道の駅で朝どれの新鮮な農産物などの野菜が買えるようになりました。
農産物直売所の野菜は新鮮で、みずみずしく美味しいのはご承知のとおりです。
では、農産物直売所の仕事とはどのようなものなのでしょうか?
もし、農産物直売所で働いてみたいという方に参考になればと思い、私自身の実体験を書いてみます。
農産物直売所とは
まず、農産物直売所とはどのようなものでしょうか?
農産物直売所は、スーパーと違い、朝どれの新鮮な農産物の直売に特化しています。
つまり、流通業者を通さず、地元の生産者と呼ばれる農家の方々に、毎朝取れたての野菜をダイレクトに出荷していただき、閉店時間には、売れ残りを引き取りに来ていただきます。
売れ残りの野菜は翌日の出荷を禁止されているため、毎日取れたての新鮮で食べごろの野菜を、お客様は購入することができるのです。
価格も、スーパーよりも安く設定されているため、お得感もあります。
農産物直売所に出荷するためには、出荷者募集の際に、申請の書類を提出して承諾を得ます。
抽選になることもあります。
承諾を得た後は、農産物直売所の出荷組合に加入して、出荷できるようになります。
規模の大きいところでは300人以上の生産者が在籍していて、日々100人くらいの生産者の方々が出荷しています。
野菜は、ホウレン草や、小松菜、ニンジン、大根、ジャガイモ、キャベツのようななじみのあるものから、アイスプラントやスナップエンドウ、ターサイ、空心菜など珍しい野菜も出荷されることもあります。野菜の勉強になります。
饅頭やパン、巻き寿司、弁当などの総菜や、工芸品も出荷されています。
週末になると、品切れになって追加出荷の電話やメールで依頼をかけることもあります。
農産物直売所は、売り場の棚を生産者に貸すという形で提供して、生産者は売り上げのうちの15パーセントから20パーセントの販売手数料を農産物直売所に支払い、残りを受け取ることになります。
農産物直売所が売り上げをいったん預かり、週に1回手数料を差し引いた残りを生産者ひとりひとりの口座に振り込む形式をとります。
売り上げはコンピューター管理されていて、集計はらくちんです。
販売価格は、直売所側が最低価格や最高価格を決め、その範囲内で生産者が自由に決めてバーコード発行を直売所に依頼します。
農産物直売所の一日
当番の生産者は朝7時くらいに農産物直売所の搬入口のカギを開け、開店時間前(農産物直売所の従業員(正社員)が出勤するまで)まで生産者の出荷を見回ったり、直売所の売り場を見回り、関係のない第三者が入ってきたら注意をしたり、出荷する生産者どおしで棚の取り合いやトラブルが起きないよう見張ります。
当番制になっていて、二人一組のローテーションです。
開店30分前くらいに農産物直売所の従業員(正社員・パート)は、出社したら、レジや売り上げを集計するパソコンなどのコンピューターの電源を入れ、農業新聞などで市場の相場をチェックして、売り場の清掃、当日の出荷量やきちんと棚に置かれているか陳列状況をチェックして、牛乳や米、漬物などの仕入れ品の陳列、補充をします。
同時にレジの釣銭をセットして、開店時間前に準備が完了したら、朝礼をして、接客や苦情処理で気が付いたこと、その他一日の予定、売り上げ目標などを全員に周知して、開店時間に自動ドアの電源のオン。
一番で買い物をするお客様が毎日、開店前に並んでいるので、開店するとすぐに直売所はにぎわいます。
レジ担当者は主にパートさんがメインですが、正社員もレジ打ちをします。
お客様が落ち着くと、商品の陳列状況を確認して、棚に空きができたら売れ行き状況の悪い野菜をその開いた部分に置き、売れるようにします。
というのも、野菜の育て方が丁寧で、味もよく、見た目もよく、売れ行きが良い人気のある生産者がいますので、その生産者の野菜は先に売れるためです。
米は精米をするため、注文してから精米機にかけます。
レジでお会計をしたら、引換券を渡し、10分後くらいにまた来ていただきます。
午前中は、朝に収穫して間もない野菜を買い求めるお客様が結構多いため比較的にレジ業務に集中することが多いのです。
平日は午後1時から3時くらいまでは比較的落ち着きますが、休日は一日中混雑します。
お昼は、交代でとります。
正社員は11時から15分刻みでお昼休憩(1時間)に入り、パートさんやアルバイトは労働時間にもよりますが、15分から1時間とります。
午後の空いている時間には、仕入れ品である米や牛乳、漬物、野菜を入れる袋類などの在庫をチェックして、発注をかけます。
仕入れ品がトラックで運ばれ、納品されるときには、納品書と品物の数量が合うか検品もします。
お客様の中には、買った野菜を送りたいという方がいます。
その時には、宅急便代を預かり箱に詰めてから宅急便業者の集荷を待ちます。
宅急便業者とは提携の契約をしていますので、毎日夕方5時くらいに集荷に来ます。
クールは冷蔵庫、常温はバックヤードに集荷まで保管します。
ちなみに、宅急便代は月に1度精算をします。
電話で野菜の郵送の依頼を受けることがあります。
そんな時は代引きで送ります。
夕方には、近所のお客様が夕食前の買い出しに来るためにぎわい始めます。
閉店1時間前からは、随時レジを一台ずつ締め始め、売り上げを集計していきます。
同時に、冷蔵ケースの清掃など簡単な清掃や閉店の準備を始め、閉店30分前くらいには早朝に当番で見回りに来た生産者が売り場に入り、野菜についているバーコードに記載のある生産者名どうしをまとめて、引き取りやすくします。
閉店30分前になると搬入口には引き取りに来た生産者でにぎわうので、閉店10分くらい前に搬入口と売り場へをつなぐ扉を開けると、一気に生産者が入ってきて、あっという間に売り場の棚は空の状態になります。
ただし、都合で引き取りに来ない生産者もいますので、バックヤードにいったん引き上げます。
翌日の朝には必ず引きとってもらいます。
最後に、レジをすべて集計し、売り上げをまとめて、一日の業務は終了。
農産物直売所の仕事のやりがい
農産物直売所の仕事は、単に新鮮な野菜を売るだけではなく、生産者との触れ合いや会話もやりがいといえます。
もちろんお客様とのふれあいも。毎日買い物に来てくださる常連のお客様もおり、野菜の話や、料理の話、世間話も盛り上がります。
生産者の方々は、高齢な方が多く、若い方は少ないです。
でも、みんな気さくで話をしていて面白いですし、なにより、元気です。
そんな生産者の皆様の元気のお手伝いもできる仕事といえます。
中には、息子や娘や孫のように接してくれる方もいますし、気にかけてくれる方もいます。
ほのぼのできる一面もある農産物直売所の仕事。
今後は、ますます農産物直売所のような形態が増えるのではないかと思います。