先日、世田谷区にある等々力渓谷に初めて行ってきました。
等々力渓谷の名前はテレビで聞いたり、旅行誌で見たりしていたので知っていました。
でも、行ったことがなく、どんなところかよくわからなかったので、行ってみたわけです。
はじめに、等々力渓谷とはどんなところ?
等々力渓谷とは、世田谷区の住宅街を抜ける延長約1キロメートルもある23区内唯一の渓谷です。
等々力の地名は、渓谷内の不動の滝から流れ落ちる水の音が辺りに「とどろいいた」ことからついたという言い伝えがあります。
最寄り駅である東急大井町線の等々力駅を下車して南へ徒歩3分くらいに位置していて、渓谷の川は谷沢川といわれ、用賀付近を水源としています。
川沿いの遊歩道を散策でき、周囲にはケヤキやコナラ、シラカシなどの木々が茂り夏でも周囲の住宅に比べ気温が低い場所です。
現在、等々力渓谷一帯は東京都文化財保護条例によって「名勝」の文化財指定を受けています。
ちなみに、環状8号線が渓谷の上を通っています。
行く前のイメージ
行く前は、世田谷の住宅街の中に木が少しだけ茂っていて、ほんの短い川が流れている場所だと思っていました。そもそも、東京都内で、しかも世田谷区に渓谷があるのだろうかと思ってたくらいです。
ところが、行ってみると、全然イメージとちがうのです!
実際に行ってみて
実際に行ってみて、一言でいうと、自然豊かで素晴らしい!
原生林と湧き水がおりなす太古を彷彿とさせる自然豊かな場所。
しかも、豊かな自然に心癒される場所といえます。
まず、等々力駅を下車し、改札を出て左方面(南方向)に。
2分も歩けば右側に大きなケヤキの木があり、右折すると赤い橋が現れます。
この橋はゴルフ橋といわれ、現在の橋は昭和36年に架けられましたが、その前は木造だったそうです。
ゴルフ橋からはV字型の等々力渓谷を見下ろすことができ、その長さがうかがえます。
周囲には木々が茂り、モーゼの十戒のごとく渓谷を中心に、木々がそびえたっています。
渓谷は夏でもひんやり。
この日は暑くはなかったですが、渓谷へ降りたときの温度差を体験することができました。掲示板によると、この日は3.7度の温度差。
このゴルフ橋の脇に「等々力渓谷入口」の看板があり、一段一段降りると、ゴルフ橋を見上げるような目線で眺めることができます。
ゴルフ橋はきれいなアーチをしていて写真スポットでもあります。
下りきると、もう足元は等々力渓谷の谷沢川。
本当に世田谷区とは思えないくらい自然豊か。木々の隙間から渓谷に差し込む日差しが渓谷を映し出し、その上、水面を照らして神秘的。
降りてしばらくは、遊歩道は狭く、人とすれ違う時には落ちないように注意が必要です。
渓谷は、高低差およそ10メートルのV字谷の地形になっていて、斜面両脇にはケヤキやコナラなどの木々が渓谷を覆い隠すように生えています。
等々力渓谷では、自然に生えている元々の原風景が伺えます。東京もかつては原生林と湿地に覆われた自然豊かな場所だったんだろうな、なんて想像も膨らみます。
所々には水が湧いていて、湿地を形成しています。湿地の場所には、湿地特有の植物も生えていて、湿原を思わせるかのようです。
湧き水はチョロチョロと湧いていますが、冷たすぎず、透明。
この湧き水は渓谷内の約30か所にあるそうで、全部ではないですが歩いていて簡単に目にすることができます。
遊歩道を歩いていると武蔵野台地の地層の境い目も目の当たりにできます。実は地層とか化石が好きなので見ていて飽きません!
等々力渓谷は武蔵野台地という台地の南端に位置していて、この台地を谷沢川の水の流れの力で削り浸食して等々力渓谷を作り出したそうです。
ですので、渓谷の木の生えていない絶壁部分に武蔵野台地特有の地層が見られるわけです。
ちなみに湧き水は目の粗い礫層と粘土層の隙間から流れ出ています。
等々力渓谷の湧水は「東京の名湧水五七選」に選ばれているので、とてもきれいなことが伺えます。
さて、ゴルフ橋を下りて、渓谷の谷沢川沿いの遊歩道を、澄み切っていてひんやりとした空気の中を森林浴をしながら、しかも、川のせせらぎや鳥のさえずりを聞きながら歩き進むと、途中で環状8号線をくぐります。下から見上げると、幅広いですね。この上をたまに走っているのかって思うとなんだか感慨深くなります。
環状8号線を過ぎると、先ほど紹介した地層のむき出し部分や湧き水と湿地のスポットが頻繁に現れます。
また、道中には等々力渓谷3号横穴や不動の滝、等々力不動尊、日本庭園など見どころがあり、観光もできます。ゆっくり回れば半日くらいはいられるかもしれません。
ちなみに、等々力渓谷3号横穴は古墳時代に作られた有力者のお墓。埋葬された人骨や副葬品が良好な状態で発見されたそうです。奥行きは13メートルもあり、昭和48年に発見。うまく渓谷の斜面を利用したのですね。
他にも横穴はあったようですが、現地を見るとどうやら埋められたようです。
不動の滝は等々力の名の由来の滝。イメージする滝とは違い、水が龍の口から流れ出ていますが、すぐ横には社もあり、神聖なスポットです。
横穴、不動の滝を見てから、等々力渓谷の最終地点手前の日本庭園で一休みもできます。
渓谷から石段を上ると、池や石畳、庭木など整備された日本庭園があり、その中に昭和36年に建築された書院造りの建物があります。畳の室内では座って休憩ができ、お茶のサービスもあります。
庭園脇の芝生の広場ではシートを敷いてゆっくりとした時間を過ごしている家族やカップルもいらっしゃいました。
都会の中のオアシスとはまさにこのことだと思います。
最後に等々力不動尊に立ち寄ったのですが、日本庭園の対岸ですので、いったん渓谷に戻り不動の滝の脇にある階段を上がります。ここまでくると結構体力勝負。
上りきると龍の口から水が出ている手水舎があり、すぐ左手には本殿。歴史は古く、平安時代末期だそうです。
等々力不動尊の境内には一休みしてコーヒーやソフトクリームを食べることができるお休み処があります。
さすがに、渓谷の距離が長いので、一休みしました。疲れたときの冷たいコーヒーがおいしかったです。
等々力渓谷は、春は新緑、夏は涼しく、秋は紅葉というように四季を通じて楽しめる場所です。澄んだ空気と鳥のさえずりや川のせせらぎ聞きながら歩けば心落ち着きます。
ただし、距離が長く、等々力不動尊や日本庭園へは階段を上がるため思いのほか足腰にくると思いますので、運動靴など歩きやすい靴が良いと思います。横穴付近の地面は土ですので、雨上がりはぬかるんでもいます。
仕事にプライベートに疲れたときに、フラっと訪れてみると癒されて、しかも自然のパワーも頂けてきっと元気になるかもしれませんよ。