不動産業について

収益不動産を買うときの利回と注意点。特に古い築年数。

不動産投資ブームも落ち着いてきた感じがここ最近します。

 

数年前は、ニュースやビジネス番組でサラリーマンの不動産投資の特集まで組まれていて、ブームに拍車をかけていたようにも感じました。

 

銀行も融資先がなく、不動産投資に矛先を向けていて、借り入れをして不動産投資をしていたサラリーマンの方も数多くいました。

 

不動産投資ブームの前は、収益不動産の利回りは、今ほど低くなく、例えば新しいアパートやマンションで8%前後、古い物件でも10%は回っていたように感じます。

 

ところが、不動産投資ブームが訪れると、買い手の需要が高まり、収益不動産の価格が上昇し利回りが低くなってきて、都内では5%前後は当たり前。

 

築40年のような古い物件でさえも5%台で売りに出ていました。

 

今でも新築物件やターミナル駅近くの物件は3%というケースもあります。

 

ほんと、都内の投資物件の利回りが低くなり収支が合うのか疑問・・・

 

また、都内のような都市部の良い物件が少なくなると、地方都市の収益不動産まで需要が高まり6%前後になる現象まで・・・

 

利回りについて

ところで、利回り5%ということは、収益不動産の購入にかかった金額の回収に20年かかるということになりますね。

 

銀行に預けておく金利よりも利回りが良いし、投資額の回収後に建物が古くなって使えなくなってもタダで土地が残るという考え方もできますが、現金をたくさん持っていて頭金をたくさん準備できる方、現金一括で買える方に該当するだけであって、借り入れを起こして買う方には一概に当てはまらないと思います。

 

というのも、ローンを組めば元本の返済と金利がかかりますし、土地建物の固定資産税も支払います。

 

ほかにも、廊下やエレベーターのような共用部分の電気代や設備メンテナンス会社に支払う保守管理費、不動産屋に支払う管理費などのランニングコストを支払うと利回りが5%では、手元に残るお金はわずかか、もしくはマイナスになりかねません。

 

しかも、常に満室という保証もありませんから、空き部屋が出てしまったとたんに赤字になる危険性もあります。

 

満室想定で黒字になるという物件は危険度MAXです。

 

つまり低利回りの物件の購入は収支をよく検討した方が良いということです。

 

あと、購入後に補修や改修をしなければいけない事態になれば、その出費は大きいです。

 

改修費用も考慮

現況で引き渡しのような場合には、買主が購入後に補修改修をしなければいけない場合もあります。

 

建物は経年劣化していきます。

 

外壁や屋上の補修や防水工事を実施する場合、建物の規模にもよりますが数百万円から数千万円はかかってしまいます。

 

エレベーターの入れ替え工事には、500万円以上はかかります。

 

物にもよりますが、エレベーターは製造から、25年から30年経過すると部品の製造が中止になり、メンテナンスできなくなります。

 

エレベーターは人命にかかわることなので、いずれ交換するときが訪れます。

 

キュービクルは交換に1000万円前後かかります。

 

電気系は万が一事故があると物件周辺の一帯が停電になる可能性があります。

 

キュービルの耐用年数を超えている古いビルは結構多いです。

 

消防設備も経年劣化していき交換を要したり、消防法のような法律の改正で設置義務になる器具も出てきます。

 

建物の補修や改修にはたくさんの職人さんや具材や工期を必要としますので、多額の費用を必要としてしまうのです。

 

となると、やはり最低利回り8%は欲しいところ。

 

仮に、防水工事や補修工事実施済みでも、築年数の古い物件は建物の内部(配管などを交換をしているケースは稀)の劣化が心配です。

 

つまり、補修工事などがある場合、元本の返済から金利や固定資産税、その他費用諸経費の支払いを済ませると、5%や6%では手元に残らない可能性が大きくなります。(空き部屋のリスクも考慮すること)

 

築年数の古い物件は要注意

その中でも特に、築年数が古いアパートやマンション、テナントビルは注意が必要。

 

やはり満室想定利回り10%以上。

 

とはいっても、現状で10%以上の利回りは地方や空のリスクが高い物件、改修工事をしていなく劣化が激しい物件ばかりですが、探せば出てくるときもあります。

 

しかしながら、都心部のような場所では5%、6%も見かけることも。

 

ところで、古い物件は注意しないといけないポイントとは。

 

まずは、経年劣化。

 

例えば、築20年から30年以上経過していた場合、メンテナンスをしっかりとしていない物件では屋上や外壁の防水が剥がれていてコンクリートがむき出しになっている場合が多いです。

 

防水が剥がれているということは、建物躯体のコンクリートが劣化して、強度がなくなります。

 

そして、亀裂部分から各階に雨水が侵入します。

 

水道管や排水管も経年劣化で詰まってたいり、穴が開いて漏水を起こしている場合もあります。

 

漏水は、下の階に漏れて、苦情の原因になります。

 

ガス給湯器は入れ替えている可能性がありますが、経年劣化で故障寸前の機器が使われていることもあります。

 

エレベーターは、使用期限を過ぎ、部品の供給が終わり、交換時期に来ていることが多いです。

 

部品供給の期間が過ぎていると、エレベーター会社は点検をしてくれません。

 

手すりや非常階段が錆びていることも多いため塗装する必要も出てきます。

 

古い建物は旧耐震基準の設計のため耐震補強が必要になる場合もあります。

 

耐震補強工事には数千万円は必要。

 

古い築年数(昭和時代)のビルに設置されているキュービクルは有毒物質のPCBが使用されている可能性が極めて高く、処分が義務付けられています。

 

高濃度の場合は処分期限が終了している地域、あるいは、2021年3月(大阪事業エリア)、2022年3月東京事業エリア(ほかのエリアもあります)に処分しないと罰則がありますし、低濃度の場合の2027年3月までに処分をしないと罰則があります。

 

そして、一番問題なのが、築年数が極端に古い場合には、建物自体の老朽化により、あと何年使えるかもわからないということ。

 

古い物件は買った後の維持メンテナンンスを考えると利回りは10%以上は欲しいところ。

 

でも、中には、利回りが低い物件もあるのが事実。(手を出さないほうが良いです)

 

仮に、建物の防水などの改修工事をしたことをうたっていたとしても、根本的に建物が数十年使い続けることができるのかも疑問・・・

 

ちなみに昭和50年以前の物件は取り壊しか、建て直しがされるタイミングが多いいように感じます。

 

いくら改修工事をして付加価値を付けたとしても、経年による構造部分の劣化や補強、改修ができていなければ、使い続けるのは難しくなりますし、近隣に新築ができてしまえば移転されるリスクもあります。

 

銀行は借り入れをする場合に、抵当権を設定しますが、築年数が古い物件には銀行が担保評価を付けないため借入額も低くなります。

 

ということは、そもそも、今後古い物件はローンで買うことが難しくなるということです。

 

まとめ

古い物件は、いつまで使用できるのかわからないリスクや、新しい物件に移転されてしまい空きが増えるリスク、担保評価が付きにくいリスクを考慮しつつ、入居率が良く(満室がよい)高利回りで駅近のような好立地の物件を探したほうがよさそうです。