不動産業について

収益不動産を買うときに利回りのマジックと確認書類のポイント

収益不動産とは、いわゆる投資用不動産のことです。

 

つまり、賃貸に出しているアパートやマンション、事務所、店舗ですね。

 

大学生になると、アパートを借りて一人暮らしをするときに借りるアパートが、大家さんから見れば収益不動産というわけです。

 

大家さんは借りてくれた学生さんから(親が支払うのが通常ですが)家賃を頂いて、その家賃で生計を立てているわけです。

 

また、駅前のお店も同様に、ビルの一室を借りてお店を営業をしているケースが多いです。

 

そんな収益用不動産はすごく魅力的ですね。

 

副業として所有して所得を増やすこともできますし、本業とすれば会社に行くこともないので自分自身が自由になります。

 

ですから、購入することを検討している方は少なくありません。

 

さて、収益不動産は新築でビルやアパートを建てる必要はなく、中古物件を購入することができます。

 

土地を手に入れてからビルを建てるというような煩雑な手順を踏むことがない中古物件は手っ取り早く手に入ります。

 

もちろん、所有権の移転手続きや賃貸人が変更したという通知を出したりと、最小限の手間はもちろんかかります。

 

ところで、収益不動産の所有者はなぜ売るのでしょうか。

 

売る理由については様々ですが、資金繰りや現金化したいとか、収益不動産を買い替えたいとか相続で譲り受けたけど不要とか、高齢で管理しきれないとか様々な理由が挙げられます。

 

その場合、不動産屋さんに買主を探してもらいます。

 

売りの依頼を受けた不動産屋さんは売主となるこの大家さんと買主を見つけるための媒介契約を結び、物件情報としてレインズ(不動産業者間で閲覧できる不動産サイト)に登録したり、アットホーム(一般の方も見ることができる不動産サイト)等の媒体に掲載し、買主を探します。

 

ということは、収益不動産を探してもらいたいときには不動産屋さんに依頼をすることで、希望の収益不動産を探して見つけてくれるということです。

 

ではどんな条件で探すべきか。

 

中古の収益不動産を探す時には、やはり収益性の見込めるエリアに絞るべきです

 

例えば、ターミナル駅周辺のビルや人気の住宅エリア、大学の周辺、人通りのある下町の商店街、今後栄えるであろうと予測の出来るエリア、人の流入が期待できるエリアなど・・・

 

収益性の見込めるエリアでないと、いずれ入居者やテナントが出ていく一方になってしまい、新しく入ってきにくいです。

 

まして、建物が古くなればなるほど借り手は付きにくくなります。

 

ということは、借りてくれる人がいないと収益用不動産であるアパートやマンション、テナントビル、事務所ビルを所有していても、空き部屋が増えてしまって、家賃が入ってきません。

 

しかも、これから人口が減っていくと言われていますから、収益性のあるエリアは絞られてくるといえます。

 

現状でも、私鉄沿線の小さな駅の徒歩数分圏内のテナントビルは空きが目立ちますし、駅から15分以上離れた古いアパートは入居者が付きにくく感じます。

 

ただし、車社会の地域では、駅からの距離というよりも利便性や築年数や間取り、設備状況が影響しているように感じます。

 

もしも売り出し価格がお得に感じてもすぐに買おうとせずに、今後の人口の増減やお店が増えるような地域かどうかなどをチェックしたほうがよさそうです。

 

あと、収益不動産を買うときは入居者がいて家賃がしっかりと入ってきたとしても、数年後に退去されて、後に新しい入居者が付かなくて、ローンの支払いばかりで困ったということのないようすることも気を付けるべきです。

 

満室の場合の70%くらいで収支が合うかを考えたほうが良いかもしれません。

 

また、収益不動産を購入するときは利回りをチェックすべきです。

 

利回りとは収益不動産の購入価格で1年間の家賃収入合計を割った数値を言います。

 

例えば購入金額が1億円で、1年間の家賃収入が1000万円であれば、

 

10,000,000÷100,000,000円=10%

 

この利回りが収益不動産を購入するときの目安になります。

 

利回りは30年以上の古い物件では10%以上はあったほうが良いですし、築浅では6%は欲しいところ。

 

築20年前後では7%から8%は欲しいですね。

 

また、利回りには満室想定利回りと現況利回りがあります。

 

満室想定利回りとは、空き部屋があるけれど、全室埋まって満室の状態を想定しての利回りを言います

 

想定ですから、空き部屋を貸すときに想定した賃料で貸すことができない場合(想定よりも安く貸した場合)には満室想定利回りは下がります。

 

現況利回りとは、実際に稼働している今の状態の利回りをいいます

 

現況利回りが想定利回りと同じであれば、満室ということです。

 

販売図面に想定利回りが10%となっていても、現況ではない可能性がありますので、不動産屋さんに聞いてきちんと現況利回りを調べるべきです。

 

あくまで、想定利回りは、これだけ家賃が入ってくるだろうという想定ですから空き部屋がある可能性があるのです。

 

空き部屋があれば、その分が入ってこないということですから、ローンを組んでいれば返済に影響が出るこということです。

 

ですから、できれば満室状態の収益不動産を購入したほうが良いです。

 

また、現在の利回り分の収入で、土地や建物の固定資産税や消防設備や電気設備などの法定点検費用、定期清掃費などの不動産にかかる費用を支払います。

 

さらに言えば、その分の家賃収入からローンと利息の支払いをします。

 

これらの必要経費を差し引いてどれだけ残るかを計算することも大切です。

 

最近の利回り

 

以前に比べ、ここ最近は利回りが低くなっている印象です。

 

5%から7%前後が目立っている印象です。

 

都内のように繁華性があるところは5%以下もあります。

 

それと、築年数が古いアパートやビル、駅から離れている場合や地方などでは想定利回り10%以上の物件もありますが、あまり古いビルは購入した後に手直しする箇所が少なからずありますので、状況を把握してから検討をした方が良いです。

 

給水管や排水管はピンホール状の穴ができて漏水したり、屋上や外壁の防水塗装が劣化してビル本体に雨水がしみ込み、貸室内に漏れてくることもあります。

 

キュービクルという電線からの高圧の電気を受電する変電設備が耐用年数を超えていて交換時期に合ったり、エレベーターが交換時期になったりしていれば数百万円の費用も掛かります。

 

利回りが高いということは、何かしらの問題抱えている可能性もあるのです。

 

ちなみに、利回り5%ということは、単純に投資額の回収に20年かかるということです。

 

その間に修繕や、空き部屋になってしまうリスクがあるわけです。

 

やはり低い利回りは総合的に見てリスクが高いのではないかと思います。

 

収益不動産の価格の出し方

 

収益不動産の価格は利回りから逆算して算出しているケースが目立ちます。

 

例えば、年間家賃収入が1000万円で、利回り10%を想定して売りたいという場合には

10,000,000÷10%=100,000,000円

となります。

 

でも、土地単体のだけの相場と建物の価格単体との合算で考えると、利回りからの逆算した価格の方が高くなるケースが多い印象です。

 

収益不動産を購入するときにはこの辺りも頭の片隅に入れておいた方が良いと思います。

 

収益を生むから高くても良いというのは違うと思うからです。

 

というのも、古い建物は老朽化で近々建て直しを考えなくてはいけないからです。

 

ちなみに、利回りが低いとはいっても、現金で購入できる方は銀行の利息よりも利回りは良いでしょうから検討の余地はあります。

 

でも、ローンを組む方は、利息がかかりますし、他にも固定資産税やランニングコストを考えると、低い利回りでは赤字になってしまう可能性があります。

 

収益不動産を購入するときにはエリアと利回り、特に現況利回りを確認しましょう。

 

 

収益不動産を購入する際のポイント

 

レントロール

 

レントロールとは入居者やテナントの賃料表です。

 

どこの部屋を、いくらで借りているかを把握する書類です。

 

このレントロールで空き部屋の状況も把握できますし、現況の賃料の合計金額から利回りの計算もできます

 

収益不動産を購入する前にはレントロールで家賃の実情を把握して検討すると良いです。

 
土地の境界確定書

 

土地の境界は確定されいるほうが、購入した後に隣地とのトラブルがなくなるので安心です

 

境界が確定していない場合には、不動産屋から売主さんに境界確定のための確定測量をしてもらうようにお願いしてみると良いです。

 

境界には、隣接地の方との境界と、道路との境界があり、実際には境界線を全員で確認しあって納得したうえで境界確定書に記名押印をして確定します。

 

道路の場合には市道は市役所、区道は区役所、県道は県の土木事務所、国道は国土交通省管の担当者が立ち会いに来ます。

 

もしも、お隣さんの塀や木がこちら側に越境している場合(逆もあります)は、お互いに越境を確認して覚書という書面を取り交わします。

 

書類を残す意味は、先々境界線や越境物でもめることが無いようにするためです。

 

建物の修繕履歴・検査報告書

 

修繕履歴は、今まで、建物にどんな不具合があって、いつどのように直したのかを記録している書類です。

 

例えば、屋上の防水工事や建物壁面の防水工事、キュービクル、受水槽、エレベーターなどが修繕の代表的な工事です。

 

修繕履歴があれば、直近で直した部分はしばらくは現状で使えたりしますからひとまずは安心です。

 

逆に修繕をしばらくしていない部分は今後修繕する必要があることが把握ができます。

 

エレベーターやキュービクル、受水槽などのメンテナンス記録や、消防署や市役所へ提出した定期検査報告書の控えももらいます。

 

定期検査報告書には指摘事項が記載されているので不具合箇所を把握することができます。

 

定期検査は、通常は設備のメンテナンス会社に依頼します。

 

そのメンテナンス会社が定期検査報告書を作成し、消防署や市役所等に提出しています。

 

ビル所有者にはその定期検査報告書は控えとして戻ってきますので、売主は控えているはずです。

 

建物は築年数が古くなるとメンテナンス部分が増えますですから今までどのように修理やメンテナンスを受けてきたかを書類で確認することで、今後どの部分の修繕やメンテナンスが必要か予測できますし、建物の現状を把握することができます

 

また、メンテナンスや修理をきちんと行ってきた建物は大事に扱ってこられた証でもあります。

 

保守点検の会社との業務委託契約書

 

保守点検や法定点検、定期清掃などの行っている会社と業務委託契約書を取り交わしている場合にはもらいます

 

今後、この建物を購入したときに、エントランスや階段などの清掃や、消防設備の定期検査報告、受水槽や貯水槽の定期清掃、キュービクルの定期検査(自家用電気工作物)を依頼するかもしれませんので、契約条件を把握する必要があるからです。

 

鍵の一覧表

 

鍵一覧表ももらいましょう。

 

鍵は建物の管理上必要です

 

万が一の時には、貸室に入ることもあります。

 

ですから、鍵がきちんとあるかあらかじめチェックしておきます。

 

ちなみに、稀にテナントや入居者が鍵を替えて、控えのスペアキーを売主が持っていないことがあります。

 

そんな時には、購入した後にスペアキーを預かりに行く必要もあります。

 

また、保守点検などの業務委託契約を結んだ会社や管理を委託する不動産屋さんがスペアキーを控える必要があります

 

1本しか引き渡しがない鍵は、後日スペアキーを作る必要もあります。

 

 

設計図

 

設計図は貸室の配置や階段や廊下のような共用部の配置、給水管や排水管、電気の配線経路など建物の状況を知るために必要です。

 

入居者がいる部分は入室して確認することは基本的にできません。

 

ですが、平面図を見ることで部屋の間取りを把握することができます。

 

さらに、設計図は建物の見えない部分の管や配線、構造が記載されています

 

建物本体の改修工事や貸室の改修工事、テナントが内装工事をするときには設計図を基に行います

 

ですから、設計図は重要書類と言えます。

 
賃貸借契約書

 

入居者やテナントの賃貸借契約書には、いくらで、どれだけの期間、どんな条件で貸しているか記載されています。

 

入居者やテナントによって借りる条件が違ってきます。

 

賃貸借契約書をチェックして契約状況を把握することができます。

 

ちなみに、賃貸借契約には更新ができる普通借家契約と、契約期間が決まっている定期借家契約があります。

 

普通借家契約の場合には契約の更新があり、定期借家契約には再契約をして借り続けることができます。

 

更新や再契約のタイミングを確認して、通知を発送する必要もあります。

 

賃貸借契約で厄介なのが退去の時です。

 

例えば、退去時のクリーニングや原状回復という修繕は借主の負担なのか、貸主が負担する部分があるのか。

 

テナントでは、建物の躯体等構造部がむき出しのスケルトンという状態で退去するのか、エアコンのような設備は置いて行っていいのか。

 

でも、通常であれば退去時の条件が契約書には記載されています。

 

ですから賃貸借契約書は目を通しておくべきです。

 

ざっと、収益不動産を購入する際のポイントや利回りについてみてきましたが、せっかく夢を持って購入する収益不動産ですから、買って損したということが無いようにわからない時には、不動産屋さんに相談したり、身近で収益不動産を所有している方に相談してみたり、不動産投資セミナーに参加して勉強するもの良いかも入れません。